心に残る“あの„味、残したい店
日本の美味遺産
家庭画報、創刊700号記念「日本の美味遺産」にて、土佐料理司【高知本店】と鰹のたたきが選ばれました。
推薦者 斎藤由香さん(エッセイスト)
豪快な炎であぶる一本釣りのかつお
三方を海に囲まれた高知は、海の幸に恵まれた土地です。土佐を代表する漁業であるかつお漁は、17世紀半ばに本格的に展開。加工されたかつお節は日本全国に知れわたり、黒潮の流れに沿ってやってくる新鮮なかつおを生かしたさまざまな調理法が発展しました。大正6(1917)年に創業した「土佐料理 司」は、そんな郷土の味覚を堪能できる老舗です。
軽妙酒脱な筆致のエッセイで、食を題材にした作品も多い斎藤由香さんが、「ポン酢とにんにくのスライスを添えて味わう、このお店のかつおのたたきは最高の美味」と絶賛するかつおは、すべて一本釣り漁法でとった生命力が強いもの。藁を加え火力を強めた高温でさっとあぶり、中はみずみずしく表面はパリッと仕上げて厚めの切り身に。季節の野菜や薬味と一緒に、地元産の柑橘類である柚子や直七を使ったポン酢にたっぷりつけていただきます。最大限に引き出されたかつおのうまみに、力強さを感じる一品です。